「旅をする木ってどんな本なんだろう」
この記事はそんな方へ向けて書いています。
・旅をする木の総合評価およびあらすじ
・旅をする木のここが良かった
・印象に残った箇所3選
・旅をする木はこんな人におすすめ
・さいごに
星野道夫さんの旅をする木を読みました。
自分の中で大好きな本で、非常にいい時間を過ごすことができましたので紹介します。
旅をする木の総合評価およびあらすじ
総合評価
アラスカに魅了され、アラスカに住むことを選択した写真家の短編集。
様々な動物、広大な自然を相手に生活し、感じたことが星野道夫さんの視点で描かれている。
旅をする木のここが良かった
①星野道夫さんの文章の語感
柔らかく、けれども力強い意志を感じる言葉の使い方、リズムが非常に心地よいです。
②本の中でアラスカの自然を感じることができる
日々の仕事、人間関係、様々な悩みで疲れていませんか。
旅をする木を読むことで、星野道夫さんの立場になり、自然を感じ、癒されます。
クジラやオオカミとの出会い、オーロラなどの自然、文字だけではありますが、そんな美しい景色があるんだということを意識できるだけでも読む価値はあると思います。
印象に残った箇所3選
①ルース氷河
すっかり興奮している子供たちから離れ、中学生のTは一人で雪の上に腰をおろし、じっとその光を見つめていた。僕はなぜかホッとし、その姿が心に残った。オーロラーは次第に全天に広がってゆき、いくつもの流れ星がその中を落ちていった。
旅をする木 星野道夫 118p
ガキ大将のKといえば、オーロラをしっかり見たのか見ないのか、山小屋のなかでせっせとストーブに薪をくべている。が、子どもが内包する記憶とははかり知れないものかもしれない。今でなくていい。日本に帰って、あわただしい日々の暮らしに戻り、ルース氷河のことなど忘れてしまってもいい。が、五年後、十年後に、そのことを知りたいと思う。ひとつの体験が、その人間の中で熟し、何かを形づくるまでには、少し時間が必要な気がするからだ。
すぐに気づけなくてもあとからその時の体験の意味が分かることもありますよね。
体験をして自分の中に留めておくことで、自分の価値観が変わり、体験したことに対して興味を持ちだしたときにその体験がより深い意味のあるものに変わるのかもしれませんね。
そういった意味では、どんな体験も意味のある体験になり得るといえますね。
②もう一つの時間
「東京での仕事は忙しかったけれど、本当に行って良かった。何が良かったかって?それはね、私が東京であわただしく働いているとき、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと・・・東京に帰って、あの旅のことをどんなふうに伝えようか考えたのだけれど、やっぱり無理だった。結局何も話すことができなかった・・・」
旅をする木 星野道夫 123p
僕たちが毎日を生きている同じ瞬間、もう一つの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。
僕たちは忙しいと自分の苦しい現状に集中してしまいがちですよね。。
そんな時僕はこのフレーズを思い出すようにしています。
同じ時間に、美しい自然、他の動物たちも同じような時を過ごしてるんだって感じるだけでも、心に余裕が持てる気がします。
③十六歳のとき
旅を終えて帰国すると、そこには日本の高校生としての元の日常が待っていた。しかし世界の広さを知ったことは、自分を解放し、気持ちをホッとさせた。ぼくが暮らしているここだけが世界ではない。様々な人々が、それぞれの価値観をもち、遠い異国で自分と同じ一生を生きている。つまりその旅は、自分が育ち、今生きている世界を相対化して視る目を初めて与えてくれたのだ。それは大きなことだった。なぜならば、ぼくはアラスカに生きる多様な人間の風景に惹かれ、今も同じような作業を繰り返している気がするからだ。
旅をする木 星野道夫 168p
僕もオーストラリアに留学した時に初めて「僕が暮らしているここだけが世界ではない」と感じました。
自分が知っている海外の人のイメージとは全然違う人に出会い、自分が住んでる世界の小ささを実感しました。
外の世界を見ることで、今自分がいる世界を客観的に見ることができるようになるので、常に旅をし続けたいですね。
旅をする木はこんな人におすすめ
- 毎日慌ただしい人
- 仕事に疲れている人
- 旅の気分を味わいたい人
- 自分と向き合いたい人
さいごに
どうでしたか?
アラスカの自然を感じ、自分と向き合った星野道夫さんならではの素敵な言葉がたくさんありました。
旅をする木は自分を見つめなおすいいきっかけになる本です。
自分と向き合いたいと思う方はぜひ読んでみてください。
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